よく損益計算書やキャッシュフロー計算書の見方について問い合わせがあるので、今話題の運輸関連の決算書をもとに、解説していきます。
本記事のポイントは以下です。
✔︎ 損益計算書を読み解く
✔︎ JR北海道の厳しい状況とは?
✔︎ 今後JR北海道はどうなる?
JR北海道の決算状況
R北海道の2020年4~9月(中間)期決算は以下の通りです。
(出所 JR北海道グループ2020年度第2四半期決算)
営業収益(=売上高)は519億円と前年同期比▲39.2%となっています。
まぁ、コロナ影響により北海道を訪れる観光客・ビジネス客が減少したことが大きな影響となってますね。
特に鉄道収入は▲55.1%となりました。鉄道収入が半分以下になっているのは大きいです。
減収影響で営業利益は236億円赤字幅が拡大し、▲385億円となりました。これは前年同期に比べて赤字額が2倍以上となったことになります。
ANAやJALに比べれば良いですが、やはり観光業・運輸業の打撃は計り知れないですね。
JR北海道とJR四国、JR九州はもともと、本業である鉄道事業等は赤字であることが前提になっています。
それを救済する措置である政府から支給される経営安定基金をもともとあてにしてビジネスモデルが成り立っています。
この基金等の運用益で経常利益以下を黒字にすることがビジネスモデルです。
この経営安定基金等の運用利益は前年同期比横ばいでしたので、経常利益は営業利益よりは赤字幅が縮小しています。
そして、国からの支援が特別利益に計上され、最終損益は▲149億円(前年同期は▲3億円)となっています。
いずれにしても営業利益、経常利益、当期利益とも過去最大の赤字となりました。
(出所 JR北海道グループ2020年度第2四半期決算)
上記図表は、営業収益(=売上高)のセグメント別動向です。
これまで、本業が赤字であるJR北海道は多角化を行うことで少しでも利益を改善しようとしてきました。しかし、コロナショックは小売、不動産賃貸、ホテル等の各事業の営業収益にも多大な影響をもたらしています。
あえて言うならば、JR北海道が多角化してきた事業は、人の移動を前提にしているものが多いということになります。コロナ影響で人の移動が止まると、本業の鉄道業と同様に売上は厳しくなりました。
まさに、八方塞がりの状態ですね・・・。
さいごに
日経新聞の記事によるとJR北海道は、まだ資金繰りには余裕がありそうでした。
具体的には、取引銀行へ当座貸越枠を増額要請し、450億円から650億円に引き伸ばしている様です。
まぁ、借りたからと言っても、あくまでドーピングみたいなもので、本業が回らない限り厳しい状況は変わりません。
損益計算書からも、人の移動をメインにした経済活動は、厳しい状況がよくわかったかと思います。
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