イギリスが2020年1月にEU離脱とともに国際関係の再構築に動き出しました。
そして、この動きは、今の米中戦争をさらに加速させる可能性もあるため、この動きはしっかり把握しておくべきです。
英国は今後どう動く?
当初多くの方々はイギリスがEU離脱後、まず連携を深めるのは、旧植民地であるカナダやオーストラリアでは無いかと予想していました。
しかし、実際の動きはそうではありませんでした。
なんと、イギリスの大胆な外交戦略は、社会主義経済を掲げ、グローバルパワーへの道を邁進する「中国」との関係強化でした。
これは、正直アメリカとしては面白く無いでしょう。というのも、イギリスは、民族的・文化的類似点に加え、国際政治の観点から言えば「自由」という価値観をコアにした強固な同盟関係です。
しかし、イギリスはこの強固な同盟関係が崩れ、外交・安全保障関係を危険にさらしてでも、中国との経済的利益を最大化するという大胆な外交に乗り出しています。
昔から英国は中国との関係を先に築いている
確かに、イギリスという国は、昔からアメリカと比較して中国との関係を先に良い意味でも悪い意味でも築いてきました。
例えば、19世紀中盤は、イギリスが、中国にアヘン戦争を仕掛けて、中国での優位な立場を先に確保していました。その後、出遅れたアメリカは、中国がイギリス・フランス・ロシア・ドイツなどのヨーロッパ列強によって中国分割が進んでいる中、後から入ってきて、列強国に対して門戸開放を迫りました。
第二次世界大戦後、イギリスは1950年にヨーロッパとして最初に共産主義・中国を国家承認しています。
そして、1971円に国連総会が、中国に代表権を認めます。また、1979年にアメリカは、中国とようやく国交を樹立します。
このように、世界よりも先駆けてイギリスが先行して中国との関係を作り、その後アメリカや世界各国が追いつくというのが過去の歴史です。
さらに、近年ではイギリスは2015年にアメリカの反対を押し切り、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加を表明しています。アメリカはもちろん、かなり難色を示していますが、フランスドイツ、オーストラリア、韓国はこのイギリスの動きを見て、追随し参加表明しています。
この当時オズボーン英財務相は「イギリスは)中国の西側でのベストパートナーになる」と打ち上げ、中国の習近平国家主席は国賓として訪英した際、両国関係を「グローバルな包括的・戦略的パートナーシップ」と呼んでいました。
このことから、イギリスが積極的に中国との大胆外交を推し進めている事が分かります。
5Gをめぐるイギリスの動きとは?
そしてついに始まった5G時代のイギリスの動きですが、アメリカはイギリスやヨーロッパ諸国に対して、中国の通信機器大手「ファーウェイ」を情報漏洩やサイバーセキュリティへの懸念から「安全保障上の脅威」と位置づけ、同盟国に完全排除するよう圧力をかけています。
これは、今もなお対応しています。
しかし、イギリスは2020年1月28日に、この警告をはねつける形でファーウェイ製品の限定的な使用を認めることを決めました。
イギリスの下した決定は、ファーウェイ製機器の使用について、原子力や軍事施設などの国家重要インフラ、通信網の中枢部分からは排除した上で、機器調達率も35%を上限とするというものです。
イギリスがこの動きを見せれば、おそらくヨーロッパ諸国の門戸は開かれていく可能性が高く、この事を恐れているアメリカは、イギリスに対して激怒状態です。
ただ、アメリカも激怒はするものの最大の同盟国であるイギリスを簡単に手放すわけには行きません。なんせ、イギリスには、世界最大の金融街ロンドンシティーがありますし、資金面だけで言えば、世界の金融の中心は米国ウォール街ではなく英国ロンドンシティーにあるわけです。
一方、中国は、イギリスに認められる事で、ヨーロッパ全土への進出がしやすくなりますし、EU最大のドイツにも既に圧力をかけ始めています。
従い、米中問題の影のキーマンは、今イギリスが握っているという状況です。EU離脱したからもう経済ニュースはEUは見なくて良いというのではなく、ぜひ過去の歴史と今後のこの3国(米国・中国・英国)の動向を注視してください。
[…] ● EU離脱後のイギリスが5Gで強気の動きとは? […]
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