米トランプ大統領が、11月27日に署名した「香港人権・民主主義法案」ですが、これがどの様な影響をトレーダに及ぼすのか?
その点について紹介したいと思います。
香港人権法ってそもそも何?
香港人権法と聞くと、香港の法律の様に思えますが、これはアメリカで成立した法律です。
香港で行われているデモなどが影響し、それを見かねたアメリカさんが、そろそろサポートしましょうかという事で、国会で法律が制定されました。
アメリカは、同じ中国とは言え、香港は関税やVISA発給で香港を中国全土より優遇してきました。
だからこそ、香港が中国にのみ込まれようとしているのか、どうなのか?それをしっかり検証するための法案を成立させたのです。
検証内容としては、中国が香港に高度な自治として認めた「一国二制度」が本当に機能しているかどうか?それを毎年検証するという法案です。
確かに、米中問題が激化する中、対外的には、同じ中国だけども優遇されている香港から「人」「モノ」「金」を移動させた方が関税面などで優遇されるのであれば、中国がそのチャンネルを使う可能性があり、検証するというのは、真っ当な法案とは言えますね。
中国がこの法案に激怒??
アメリカ側の立場としては、理解できますが、中国側の立場としてはどうでしょうか?
一番初めの報道では、今回の法案成立に対して、「中国の内政に著しく干渉する行為だ」として、お怒りムードの様でした。
しかし、
中国も少し大人になったのでしょう。
その直後に閣僚級による電話会談が行われ、コメントを一変させ、「(米中貿易)問題をしっかり解決する事で共通認識を得た。残された事項について交渉を続ける事で合意した。」と発表しました。
米国での法案成立は、トランプ大統領の独断のものではなく、また中国共産党への干渉をするものではないことが、適切に伝わったということであれば、一安心です。
米中貿易問題は2019年内に合意するの?
閣僚級電話会談の結果が、ひどい結果であれば、合意というのは難しかったでしょうが、ポジティブな方向に動いている事が、まず重要なポイントですね。
両国ともに、クリスマスプレゼントとして、どの様な内容を「第1段階の合意」に織り込もうか考えているというところでしょう。
アメリカとしては、最低でも、中国がアメリカの農産物を大量購入するという確約を欲しい様です。
これが確約されれば、トランプ大統領にとっては、アメリカ中西部の農業州からの支持を得ることができるので、絶対に外せません。
他にも、中国経済の構造改革(開かれたマーケットにするなど)をトランプ大統領は織り込んで欲しいでしょうが、これは、難しいでしょうね。
というのも、中国とアメリカでは、状況があまりに違いすぎます。
一党独裁で自国に超巨大マーケットを持っている中国では、内需を増やす事や一帯一路で確保したアメリカ外のマーケットを拡大させる事で、今の経済状況を乗り越えられると考えています。
一方、関税引き上げを行う事で、一旦は、中国に対して圧力をかけたつもりでいるアメリカ大統領ですが、その巨大ブーメランが、まさに自分たちに返ってきており、辛い状況になっているんです。
そして、何としても大統領に再選したいというトランプ氏の思惑も相まって、焦っているのはアメリカ側でしょう。
この結果から、まず農産物の大量購入というクリスマスプレゼントさえ受け取れれば、2019年内の合意は近くのではないでしょうか?
さいごに
あくまで香港人権法成立!という字面(じづら)だけを読むと、意味が分からないこの問題ですが、裏にある背景を読み解くと本当に面白いですね。
そして、我々としては、どうすれば良いかというと、テクニカル的にもドル買いの勢いが強い今、もう少しドルが強くなっていきそうだなということが読み解けると思います。
もちろん、第1段階の合意が得られれば、一気にドルが買われると思いますので、12月はそのニュースに要注意です。
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